君だけに夢をもう一度
車は都内へと入ってきた。

さきほどまで、軽快なハンドルさばきで高速を走らせていたレクサスも、車の数が増えてスピードダウンした。

「確か、横浜で中学校の先生をしてたんじゃなかったのか? 」

敦子は、卒業後は教員になった。

当時、正和は、敦子にも一緒に音楽活動をしないかと誘ったが、あっさり断って就職した。

「私ね、いろいろあって教員を辞めたの」
「それでミュージシャンに?」

「音楽がやりたかったことに気づいたの・・・・・・一度、音楽を辞めてみて」
「・・・・・・」

車窓から、そびえ立つビルの間から夕陽が見えてくる。


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