気まぐれお嬢様にご用心☆
「あら?薫さん……どうしたの?」
部活の帰り道。
翼は目頭を押さながら歩いている彼女に声をかけた。
黙って見過ごすことができなかったから──。

「翼……さん?さっきまで公園に……ってその恰好」
薫は体育着姿の彼女に動揺して見せる。

「公園?何のこと?さっきまで部活の試合だったんだけど」

「……じゃあ、さっき私が会ったのは?」

「それはきっと『楓』ね」

「楓?」

「私たち双子なの」



翌日、俺は教室に入ろうとしたとこで呼び止められた。

「話があるの、来て」

「話……?」



「昨日のこと!あれはどういうこと?さぁ!納得するまで説明してもらいましょうか!」

強引に連れていかれた先は体育館の裏。

昨日のこと?説明?
一体何を言っているんだ?

始めは意味が分からなかったが、俺は『まさか』と気付きハッとなる。

「ひょっとして……」

『楓』ということがバレたのか?!

その『まさか』は見事に的中したようだ。
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