婆ちゃんの恋物語
「お爺ちゃん、お父ちゃんは、お母ちゃんと賢太朗は、何処に居るん。」
お爺ちゃん、ガタガタ震えて、後ろに置いてた葛篭の中から、カタカタ言わせながら、白木を出して来たん。

「何、それ。」

うちの目の前に、見たくないそれが、立ってたん。
「わしが、畑に出てた時、あの地震や、お父さんも畑来る言うてたんやけど、お母さんの具合が悪くて、賢太朗も、風邪気味で、寝とったんや。だから、面倒見とれって。わしが、言うたから、

地震で、おじいちゃんも、足を折ってもたんや、慌てて、家に向かってたら、転んでもて、動かれんで。」

お爺ちゃんの話は、続いたん。動かれでおったら、学校の先生や、近所の人が助けに来てくれて、その時、土砂で家が、壊れた事を知ったんやて、少人数で、崩壊した家の下から、一人、一人、外に出したけど、4軒の家は。家の外に出てた人は、助かったけど、中に居た人は、柱や屋根や壁に挟まれ亡くなったって、
10人程の遺体を、学校より奥にある、お寺に運んで、葬儀して、寺の一角に、土葬したんやて、

そんな話、信じられへんかった。

涙も出へんし、声も出へん。
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