婆ちゃんの恋物語
お握りを、巧君のお母さんが、持って来た米を、炊いて、お握り一つづつ配ってくれた。

「靖ちゃん、こっちに来てくれへんなあ〜。」

「まだ、落ち着いてないんやで、今夜は、僕、傍に居てるから。そっとしといてあげよ。」

なんで、一番に話に来てくれへんのやろか?
うちも、靖ちゃんのおばちゃん知ってるし、悲しいのに、なんで、避けてるみたいに、傍に来てくれへんねやろ。
なんか、靖ちゃんと泣きたかったのに、一人で、おばちゃんや賢太朗君の顔が、浮かんで勝手に涙が出てたん。それだけやなくて、うちの家の事も気になって、涙が、止まらなかったん。




「行くで。」

「エエッ。」

雑魚寝状態で、寝てしまってた。
目がパンパンに腫れて、えらい顔になってるんちゃうやろか?
顔を洗ってたら、誠さんが、声をかけて来はってん。
手拭いで顔拭いてた。うちの手を引っ張ったん。
「お握りを食べながら、行くで。」

石炭のトラックに二人飛び乗って走り始めて、笹の葉に包んでた、お握りを加えて、運転してる誠さんが、黙って、お握りをうちに、渡してくれたん。

「食べときや。」

二人して黙ってお握りを食べてたん。

「靖ちゃん、寝てたなあ。」

「見てへん。」

「巧に、腕枕してもろてたで。麻ちゃんもしたろか?。」

して欲しいはずやのに、黙ってたん。
そんな気分になれへんかってん。
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