婆ちゃんの恋物語
敬礼したまま、笑ってはった。

「大谷さん、町に行くんかなあ?行くんやったら、麻ちゃんの親御さんのその後聞いて来て欲しいんや。まだ、病院やと思うから。宜しく頼む。」

「了解しました。」

慌ただしい、でも忘れることのできない正月になったわ。




お母さんとお婆ちゃんから連絡があったのは、三が日が過ぎてからになったんは、病院で、大谷さんがお母さんとお婆ちゃんを見つけられずに、言付けを置いて戻ってきて、電話が、三が日の夜にどうにか、繋がって。
四日の朝に、電話が入ったんやわ。

「おめでとう。元気にしてるん?こっちは。まだ病院通いやわ。」

お母さんの声、疲れてたん。誠さんの話したかったけど、帰った時にと思て言わずに切ったん。



新年早々、名古屋に空襲があったと、大谷さんが、バタバタと事務所をに出入りしてた。

「三日に空襲あったんやて、」

靖ちゃんが、聞いた話を教えてくれた。

元旦のあの時の話は、なんやお互い話そびれて、日が過ぎてたん。
誠さんの話、聞いて欲しいけど、なんか、言い辛いん。
靖ちゃんも、巧君とどんな話したんか、言うてくれへんもん。
なんか、二人とも、悶々としてたのん隠してたみたいやった。

この年になって、毎晩に近い程空襲警報が、鳴り響いて、誰もが、疲れ切ってた。うちと靖ちゃんは、間借りした部屋で、過ごし、空襲警報聞いたら、二人で、事務所の隣にある、壕に、皆と飛び込んだ。大きな、深い壕やったから、狭苦しくて辛い事もなかったん。
< 90 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop