婆ちゃんの恋物語
うちの方が、誠さんと仲いいとか、靖ちゃんは、靖ちゃんで、自分と巧君仲の良さを強調してたし。


夕方、誠さんに、聞きたかったから、靖ちゃんと、巧君の家の前で待ってたん。
リヤカーに、米俵と野菜を積んで、ゼーゼ言いながら、戻って来た二人は分配の用意を直ぐに始めて、うちらに、一番に、芋と米一合、しなびた大根を二本、手渡してくれた。

「お婆ちゃんが来たんやてなあ。家に帰れるん?。」

「お爺ちゃんを家で看病しなあかんから、帰らないと、お母さんとお婆ちゃんだけじゃしんどいみたい。」

「仕事には、来るやろ。」

「来れると思います。」
誠さんは、手を動かしながら、うちらを見てた。
「4月の移動とか、巧さんに聞いたんやけど、誠さん、麻ちゃんに何も話してはれへんかってんね。
なんで、麻ちゃん、うちから聞いてびっくりしてんよ。」

「言いそびれてもてた。軍の命令により、4月から、西淀川区にある。
プロペラ部品工場の指導員に格下げや。
僕の反戦主義思想や、嫌、一番に、木材を横流しして、食いつないでるんが、上の耳に入ったんやろな。
戦地送りにしたかったんやろけど、こんな奴が、戦地に行ったら、思想を叫んで、仲間を増やして何をやらかすかわからんから、町工場に押し込めよったんや。
心配せんでも、僕も巧も此処から通うから、会えるんやで。」

ホッとしたら、涙がポロポロ出て来たん。ポロポロこぼれてるんが、土に落ちてたん。

「泣いてもたあ〜。ごめんな。ちゃんと早く話したら良かったんやなあ。決して、麻ちゃんに内緒にしてたんちゃうよ。」

「まだ、決まった訳ちゃうから。」
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