あの音が聞きたくて
「ホンマに腹立つ!」

今日は補聴器をつけるのを
やめておこうかと、
麻衣は半ば諦めかけた。

部屋の隅ではリオンは大泣きをしている。

ふと、キッチンの棚の上に隠してある
飴のことを思い出した。

一歳を過ぎ、自分で歩き回れるように
なった頃から、リオンは

大好きなお菓子を見つけては
こっそりと食べるようになった。

そのせいで、ご飯を食べる量が
減ってしまい、これは良くないと思った

麻衣は、お菓子をリオンが
手の届かない高い場所に隠すようにしていた。
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