DOLL・・・ ~秘密倶楽部~

「犯罪」...
そう言ってもおかしくない程
異常な行為だった


 こんな苦痛なだけの
 SEXがあるなんて...



事が終わると西山は
すぐに部屋から出て行った

激しく乱れたベッドの上で
ただ、ただ...
塊のように放心する乙羽


リビングからは
西山の激しい怒声が響く


「テメェ...

 しょうもない女
 連れて来やがって...
 
 ギャァ、ギャァ、うるせぇーだけで
 よがり声一つあげねぇし 
 おまけに生理じゃねぇか!!
 とっとと、連れて帰れ!!」


怒りに任せ携帯電話を
床に叩き付ける西山


ガクガク..

 震えが
 止まらない...


乙羽はシーツに包まり身を固める


「オイッ!!」


ビクッ


「オマエ、いつまで寝てんだ!!
 とっとと帰れ!!」


ガンッ!!

西山がベッドの脚を蹴飛ばす

乙羽は起き上がり
まだ震える手で服をかき集める
するとイライラした様子の西山は
服を着る間も十分に与えず
まるでボロぞうきんのように
部屋から乙羽を放り出した

恐怖とショックでそこから
一歩も動くことが出来ない乙羽


西山からの電話ですぐに
飛んで来た飯岡は
玄関先でうずくまる
乙羽を見つけると
眉一つ動かすことなく
来ていた上着を脱ぎ
乙羽にかけた


 ...温かい


上着に残った飯岡の体温が
乙羽の身体に移行する

誰かの体温がこんなにも
温かいなんて...

唇を噛みしめ
立ち上がる乙羽...

不自然に足を引きずりながら
ひょこひょこと歩き出す...
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