DOLL・・・ ~秘密倶楽部~
「服を着ろ」
そう言って飯岡は
車から少し離れた場所で
タバコに火をつけた
泣かない...
絶対...
こんなコトで
泣きたくない...
兄の死に比べれば
こんなこと...
何でもない...
ギュッと唇をかみしめて
こみ上げる感情を押し殺す
誰に強いられた
訳じゃない...
自分で決めて
ココへ来た...
だから
泣かない...
だって...
これじゃぁ...
格好悪すぎる...
口の中には血の味が広がる
煙草を吸って戻って来た飯岡が
あたしを見てハンカチを差し出す
あたしはそれを無視して
車の助手席に乗り込んだ
飯岡もすぐに運転席に座り
エンジンをかけながら
「...忘れろ
じゃなきゃ、慣れろ
お前が選んだのは
こういうことだ...」
「...」
あたしは何も言わず
ただ、窓の外を見ていた