DOLL・・・ ~秘密倶楽部~

部屋に戻った乙羽は
膝を折るように
足元から崩れ落ちる

荷解きされぬまま
残されたカバン...

つい、数時間前
この部屋を出た時と
何ら変わりも見せない
この部屋はまるで
時を刻んでないかのような
錯覚すら覚える


 だけど...
 あたしは違う...

 あたしはもぅ...
 元に戻れない...


突き刺さる現実

自分の身に起きた
現実を理解するのが怖い

思い出したくないのに
頭の中では何度も
西山との行為がリプレイされる


耐え切れずバスルームへ
駆け込んだ乙羽は
服も脱がずに
シャワーの栓をひねる


シャァァァー


真冬の冷たい水が
乙羽の心臓を刺激する
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