DOLL・・・ ~秘密倶楽部~

その日の柊音は
出掛ける様子もなく
録り溜めたHDDの中身を
チェックしている


 今日はお休み
 なのかなぁ...


乙羽がそんなコトを
考えながら柊音を見てると



「なぁ...

 外に出らんなくて
 辛くない?」


録り溜めたHDDの中身を
早送りしながら問いかける柊音


「ぅ~ん...」


首をかしげ
少し考えた乙羽は


「割と...
 平気..かな...?」


「フーン..スゲェ...
 
 俺は絶対、無理!!」


「ぁ..ぁたしインドア派
 だから...カナ...?」


「インド派?」


「イ・ン・ド・ア」


「フーン...?

 ま、辛くなったら
 遠慮しないで言ってね

 解放しちゃる」


「?」


再びTVに視線を戻し
リモコンを操作する柊音の
後姿を見つめる乙羽


 解放...?
 どういう意味?


 柊音が契約を解いても
 あたしは事務所に
 戻されるだけで...

 契約が入らなければ
 あたし外に出られるのかな

 そういえば...

 そういう話し
 ちゃんと
 聞いてなかったなぁ...

 外に出られなくても...

 そうだよね...
 全然、考えたことなかったな


 でも...
 不思議と...
 あまり苦に思わない...

 まだ、日が
 浅いからかな...?


そんなコトを考えていると
ふと、窓の外に大きな
満月が浮かんでるのを見つける乙羽


 ぅわぁ...

 今日は満月だ...
 前に見たのは...


ふと...
蘇る記憶


 『乙羽、いい加減
  中に入れよ!

  寒いだろ?』


 『寒いくらいが
  気持ちいい♪

  ホラ、見て
  今日の月、大きいよ♪』


 『デカかろうが
  しょぼかろうが
  食えねぇモンに俺は興味ねぇ』


 『もぉ!

  お兄ちゃんは
  先、中に入っててよ』


 『てか、お前
  早くご飯食べろよ
  冷たくなるだろ』


 『ぇー
  もうちょっと見てたい』


 『勘弁してくれ

  後、10秒で来なきゃ
  俺が食うからな』


 『やだ! 何それ!!』


 『後、7秒~』


 『ちょっと待って~』


 あの時は...

 お兄ちゃんが
 いなくなるなんて
 考えもしなかった

 月を見るのが
 好きなあたしの為に
 屋上に特等席を
 作ってくれた兄

 そこで何時間も一緒に
 月を見たこともあった...

 もぅ、二度と...
 一緒に見ることは...


窓辺で月を見上げ
涙をぬぐう乙羽
そんな乙羽を見て柊音は


「まるで...
 お外が恋しいワンコだな」


「ワンコ?」


「ぁぁ。」


そう言うと柊音は
乙羽の頭から
フードつきのトレーナーを
スッポリとかぶせる


「じゃ、行こか!!」


「?」


そう言い
乙羽の腕を引く柊音
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