DOLL・・・ ~秘密倶楽部~

 ぇ...
 
 何...


 シオ...ン...?



朦朧とする意識の中
暗闇の中で
激しく揉み合う
二つの黒い影


「森園さん!! 大丈夫?」


 ...ぇ


聞き覚えのある声



 サクラギ..さん...?


激しく抵抗する男を
押さえ込みながら桜木は
暗闇の中、声を発す


「森園さん!!」


「...」


 声が出ない...


反応のない乙羽を
心配した桜木の
一瞬の隙をついて
男が逃げ出す


「ぁ、待て!!」


桜木は慌てて男を
追いかけるがすぐに
乙羽のことが心配になり
戻ってくる


「ハァ..ハァ...
 
 森園さん...大丈夫...?」


暗闇の中、手探りで
電気のスイッチを探す桜木


カチッ...

明るくなった部屋の中は
激しく物が散乱し
桜木と男のすさまじい
乱闘の後を物語っていた

床には電気コードで
グルグルに巻かれた
乙羽が倒れている


「森園さん!

 ハァ..ハァ...
 待って...

 今、外すから...」


桜木もまだ
興奮冷めやらぬ様子で
手が震え
うまくコードが外せない

やっとのことで
乙羽に巻かれた
電気コードを外すと桜木は
「大丈夫?」と乙羽に
何度も問いかける

恐怖で声が出ない乙羽は
ただ、ただ...
桜木の問いかけに
何度も大きくうなづく


「大丈夫...
 もう、大丈夫だから...」


そう言って
震える乙羽の肩を
優しく抱き寄せる桜木

そんな桜木の腕もまた
震えている


桜木の暖かな体温に触れ
安心感からか
乙羽は涙が止まらない
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