残酷なラブソング


「美桜この辺でいい?」


「うん、ありがと」


ここは、いつぞやかブルームの

食パンをおやつに少年達が遊んでいた

のを見つけた市営公園である。



「美桜なんか用事ありなんだ?」


「うん、美桜はパン屋でバイトだよね?」


私が答える前に、陽菜の問いに愛未が

さらりと答えた。


「へ〜びっくりだね、そりゃ。

また何で?」


車が停まっているのに

まだ外に出られない。

すぐそこにブルームが見えるのに。



「君島さんの後を受け継いだんだよね?」


また愛未があっさりと
当然のように答える。


「へぇー、それで。

って愛未!君島さんじゃなくて
さーおーりーん!」




バイト。


初めての金稼ぎ。



どちらかというと

裕福な方の家庭だったから


バイトの必要性がなかった。





陽菜をうるさそうに

冷たくあしらう愛未に

目で行ってくると伝え、

車を出た。



「いらっしゃ・・・あら、美桜ちゃん。」


裏口からではなく、

普通に店に入った私。

店長の奥さんに顔を知られていたみたい。



「あ、えっその・・今日・・・」


しどろもどろに呂律の回らない

私を見て、奥さんは微笑んだ。


「接客は笑顔が大事よ。
いっぱいいっぱいになる前に
ここ!」

奥さんは口の両端を指差した。


「ここは常に上へ意識してね。」


「はい!」


奥さんに裏口にまわるよう言われて、

一旦外に出た。


頭上を過ぎ行く飛行機が、

自身の存在を残すかのように

吐き捨てた一筋の線で

青すぎる空を区切る。



君島さんと過ごした日々は

一ヶ月に満たない。



でも、不思議。




私の心には深く焼き付いてて、

君島さんに連想させるものが

周りに溢れ返っている。




例えば、

あの飛行機雲。



そして・・・・



「あ、また会いましたね」





彼も・・・・

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