残酷なラブソング
「あ、啓太くん」
「ひとりでここをくぐるのは、
勇気がいるでしょ?」
と、親指をクイッと
裏口に通じるトンネルに向けた。
少し大人ぶって微笑んでみる。
彼は、私の心なんか見透かしたように
意地悪く口角を吊り上げると、
さっさとトンネルに入っていってしまった。
え?置いてっちゃうの?
いくら年上ったって女の子なんだから
もっと思いやりを持って
接してほしいな、なんて
少しがっかりに思いながら
トンネルに一歩足を踏み入れた。
「わあ・・・」
トンネルを構成するツタの茎に
等間隔に吊り下げられた
いくつものランプが
穏やかな光りで地面を照らしていた。
外は5月の清々しい青空で
世界を濁りなく透き通らせているのに、
トンネルの中は
落ち着いた雰囲気で、
どこか怪しげなんだ。
「遅いよ、美桜さん。」
裏口を開けてすぐの更衣室で
すでに啓太くんは着替え始めていた。
「いやあぁぁぁぁ!」
啓太くんは、上半身裸で
またその体がたまらなく綺麗だった。
「なんで裸なのぉ〜!」
熱っぽい顔を手で覆い隠し、
啓太くんに背を向けてしゃがんだ。
心臓がすごいドキドキいってる。
腹筋割れてた・・・
がっしりしてて男らしかった・・・
乳首ピンクかった・・・
私、変態?
頭を伏せながら、
色々と脳内で巡らせていると、
背中の一部にフワッと熱を感じた。
条件反射で振り返ると、
そこには、屈み込んだ状態の
啓太くんがいて。
「もう大丈夫ですって。
発情しちゃいました?」
視覚があまりに衝撃的すぎて
もう啓太くんの声なんて
耳に入らない。
筋が何本も浮き出た首筋に、
白いTシャツからのぞく
存在感のある鎖骨と、
焼けた肌、
そして左目の下の泣きぼくろ。
セクシーすぎるよ。
その顔でこれは、ずるいよ。
発情しちゃってもおかしくない
だめだ、お姉さん鼻血出そう・・・