残酷なラブソング

私は茹でダコみたいに

真っ赤だろう顔を臥せたままいると、

啓太くんの息が髪に当たった。


何か起こると思うと、

体が強張って収縮する。


でも・・・何も起こらない。

近くにいる、それだけ。



様子が気になって少し顔を上げようと

した時、啓太くんはサッと

後ろに引いた。



え?


訳が分からず、顔の事も忘れて

啓太くんの方を向くと、

頬の盛り上がった部分を

少し赤めらせ、鼻に手を添えて

私を見ていた。



この反応は、何を示すの?



男経験皆無の私には

まず知り得ない。


「啓太くん?」


彼は黙ったまま私を見ていたが、

薄く口を開いた。



「処女?」










な、ななな何を言うの!!!


少し冷め始めたのに、

また顔が一気に熱くなる。


口をぱくぱくさせるだけで

声が出せない。


あ、うぇ、みたいな

詰まった音しか出せない。


「まじですか?」


啓太くんは、はぁ〜っ、とため息をつき

ずるずると座り込んでしまった。



流れが理解出来ないけれど、

ため息をつかせた原因が

私である事に変わりは無さそうだったので

とりあえず謝ってみた。


啓太くんはチラリと私を

確認すると、また顔を膝の間に

埋めてしまった。



体操座りの膝の開き具合

頭を囲む、腕の、筋肉による凹凸に
浮き出た血管

時折ピクリと反応をみせる腱

頭を包む、大きなゴツゴツとした手

指なんかも太い

呼吸は肩でしていて、上下している


全てが男で、

私に男を意識させた。


まるで見せ付けられている感覚に陥った。



無造作にはねさせた髪は、

ほんのり茶色で、柔らかそうだった。


少しくらい触ってもいいだろうという

好奇心で恐る恐る手を伸ばす。


もう少し

あともう少し・・!



「ダメです!」


指先に軽く触れた時、

啓太くんの頭が私の手をよけた。



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