残酷なラブソング
あれから、
君島さんは私達と行動を
共にするようになった。
君島さん、私、愛未、
そして陽菜(はるな)。
陽菜はキャピキャピした今時のギャル。
金髪ドールヘアだった高校時代、
友達に国立大志望だと伝えたら
警察沙汰のひどい騒ぎになったらしい。
そんだけギャルだった。
今はモカブラウンに落ち着いたけど、
変わらず、若々しい格好で
現れるから
場違いっていうより、
大人びた国立大には新鮮だ。
「レポ提出いつだっけぇ?」
午前の講義を終えた4人は、
いつものカフェテリアで
簡単な昼ご飯を済ませていた。
「月末だよ。って陽菜、
何回言ったら覚えるの。」
「やん、愛未様!頼りにしてます!」
君島さんはパスタをフォークに
絡めながら、ふふふ、と笑っている。
「そういえば君島さん、
いつ岩手に行くの?」
「岩手!?岩手って君島さん、
どっか行くの?」
私の言葉に瞬時に反応した陽菜は、
君島さんの肩を掴んで揺らす。
「岩手の大学に研究を〜・・・」
「すっげぇー!」
私と愛未は顔を見合わせた。
陽菜と君島さんはタイプが正反対だけど
合うのかな〜・・・?
陽菜のしつこい若者言葉に根気よく
対応した君島さんは、
なんだか疲れ切ったご様子。
「あ、美桜ちゃん。」
「ん?」
「明後日なんだ。」
「何が?」
隣で、陽菜が愛未のグラタンを
勝手に食べたとかで揉めている。
愛未は食べ物にうるさいからな。
「岩手に行くの。」