走り出せ、コスモス*
3時間目の数学が終わったあと
最後解けなかった問題を解いていた
「今日は、先に帰ってるね
残っとけだって、なんかラブの予感!」
真緒ちゃんは私より嬉しそうに言う
いやいや、そんなことないですって。
私はホント言うと、まだ先生と両思いになれたなんて信じられてない
だって、あんな素敵な先生に
特別思ってもらうほどの 長所
自分が持ってるなんて思えない
頭の中は片思いのまま
先生と2人で会えるって思うだけで
目の前がピンク一色に変わっちゃう
だからそれで何かあるなんて…
想像するのさえもったいないよ
というか、想像する余裕も ないし
問題が解けきったころには、周りには誰もいなくなっていた
時計を見ると、もう長針が真上を通り過ぎていた。
そのとき
―――カツン
――カツン
あ、先生だ…
先生の靴は多分硬いんだ
靴音が特徴的で すぐ分かる
扉を開ける音がして
でも 何だか恥ずかしくて
ずっと下を向いていた