悪魔のいる教室
わざと鞄の話を持ち出して、私を帰そうとした?

私が気を遣わないように?


なんか……なんかそれって──


「あ……明日っ」

「あ?」

「今日は……無理だけど、明日なら……」


言いながら、ブワッと顔中が熱を帯びていく。


……なんかこれって私、すっごい悪魔と帰りたいみたいじゃない?

違う。違う、これは。


悪魔が、どんくらい前からかは知らないけどずっと私の事をここで待ってて、なのにさりげなく気を遣いやがるから。


なんかそういうのって、すごくすごく悪い気がすんじゃん。

別に一緒に帰る約束も何もしてなかったわけだけど、それでも、『しょうがないじゃん』だけじゃ済ませらんない。


しかも普段、悪魔がそういう謙虚なキャラじゃないから、なおさらそう思うわけで──……


──……ううん。
本当は、それだけじゃない。

さっきの感情は心の中の3割くらいで、残りの7割は……嬉しかった。


さっきまでの悪魔の言動は、全て私が関連してて。

悪魔なりに私の事を考えてくれてて。


そういう気持ちを、無下にしたくないと思った。

大事にしたいと思った。
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