悪魔のいる教室
だって悪魔は、今まであんな沢山の人混みの中から私だけを探してくれてたって事でしょ?

他の誰でもない、私を。

私だけを。


そういうのって、なんか……なんか、たまんない気持ちになる。


私は頭がおかしいんだろうか。


私の精神状態が不安定なせいか、相手が悪魔だからかはわからない。

ただ悪魔の言動に、胸がほんのり温かくなって……少しだけ泣きそうになった。


そんな私は、頭がおかしいんだろうか──……。


「……つーか」


いつの間にか俯いていた私は、落ちてきた声に顔をあげた。


「明日からは、問答無用で連行だ」


そう言って、フッと微笑む。

口角をほんの少し上げるだけの表情の変化は、きっと遠くからじゃわからない。

近くにいなきゃ、この不器用な優しさは見えにくい。
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