悪魔のいる教室
この教室で、涼子達のように悪魔がいないと気づいた人はきっと少なくないだろう。


悪魔は目立つ。

たとえ話題に出なくとも、その影響力は先生よりも遥かに大きい。


悪魔のいる教室はどことなく空気がぎこちなくて、静寂ってわけじゃないけど、みんなが悪魔を意識して緊張してんのがわかる。


“うるさくしちゃダメ”ってわけじゃないのに自然とテンションをセーブしてしまう。

そんな感じだと思う。


それが良いとか悪いとかは別にして、それほどの存在感が悪魔にはあるわけで。


そういうのって、どういう気持ちなんだろう。


存在感のわりに、悪魔の実態はほとんど知られていない。

あるのは根も葉もない噂ばかり。

情報通なわけじゃない私も、悪魔の噂はよく耳にする。


些細な噂や、人道を踏み外したような酷い噂。


でも、最近思う。

みんなが見てんのは“佐久間隆斗”じゃなくて、“噂で出来上がった佐久間隆斗”なんじゃないかって。
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