悪魔のいる教室
教室の真ん中に、小林くんとその仲間が3、4人。


染められた髪やだらしなく着くずした制服、シルバーアクセサリー。

この教室でも、派手なグループに属する男子達だ。


「つーか、最近教室来すぎじゃね?」

「あぁ、マジうぜぇ」

「さっさと学校辞めりゃいいのにな、あいつ〜」


小林くんの言葉に便乗するように、次々と飛び交う悪口。

馬鹿にしたような、意地の悪い笑い声。


彼らのこういう時の雰囲気は、独特。

他のどんな話題よりも、寄って集って誰かの悪口を言ってる時が1番楽しそうに見える。


1人のニンゲンを罵り合って、笑って。

何が面白いのか私には理解出来ない。


だけど、この珍しくない光景もまた、教室の“自然”になってんのは紛れもない事実。


何が正しいとか何が間違ってるとか、そういうのは“強者”の権限で左右される曖昧なもので。

この2年7組という小さな社会の中で“強者”に値する彼らに、“弱者”の私が今さら何か言うつもりも、勇気もない。


『他人事だから』とかじゃなくて、たとえば自分の悪口を言われていたとしても、私は何も言えないと思う。

いや、絶対に言えやしない。
< 178 / 201 >

この作品をシェア

pagetop