悪魔のいる教室
「……お前に関係ねぇ」


散々もったいぶった後、いつもの低い声でボソリと呟いて黙々とおにぎりを食べ始めた悪魔に、


「おいおい、心配してくれてんのにそれはねぇだろぉ?」


そう突っ掛かるタツ兄は、なぜかすごく楽しそう。


「お前たしか、正直者なんだったよなぁ?」


なんでそんなに楽しそうなのかは謎だけど、悪魔は再び動きを止めてタツ兄を見据えてる。

よほど言いたくないんだろうか。


「しょうがねぇ。お前が言わねぇなら、俺が言うわ」


『本当は始めから自分が言いたかったんじゃねぇの?』ってなくらいのニヤニヤ顔で、タツ兄は悪魔がこうなったわけを話し始めた。


それは悪魔が教室を出ていった、その後の行動。


3年に呼び出され体育館裏に行った悪魔は、5人がかりで散々ボコボコにやられたらしい。

3年が去った後もずっと体育館裏で動けずにいたところ、偶然にもタツ兄から電話がかかってきた。

『学校の近くに引っ越してきた』と報告するつもりだったタツ兄は、悪魔の状態を知り、迎えに駆け付けた。

部屋に着いた後は傷の手当てをし、自分の服を貸して、悪魔の汚れた制服を洗って……とタツ兄が忙しく動き回ってる間に、悪魔は爆睡。

そして夕方コンビニに行って帰って来たところ、私が部屋の前にいた。

……という事らしい。
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