悪魔のいる教室
「そうか……ケンカに負けたせいでこんな事に……」

「そう、隆斗は負けた」

「でも5人相手じゃ、さすがに負けるよね……」

「こいつの実力もまだまだって事だ」

「そん──」

「てめぇら黙れや!!」


ついにぶちギレた悪魔は、米粒が吹き飛ぶ勢いで怒鳴りたてた。

『俺の新居を汚すんじゃねぇ!!』って悪魔に便乗して怒鳴ったタツ兄に、私は笑いを堪えるのが大変だった。


タツ兄と共犯で、いつも脅されっぱなしの悪魔にささやかな仕返し。


絶対口には出さないけど、ケンカが馬鹿みたいに強い悪魔は“負け”が相当悔しいはずで。

タツ兄もそれをわかってるからあんなに楽しそうだったに違いない。


私、性格悪いなぁ。
ケケケッ。


「……あいつら殺す」


呟かれた物騒極まりない台詞も、恐ろしく低い声も。
タツ兄がいる空間だと、不思議と迫力が半減して聞こえる。

だから、私は普通に思った事を言う事が出来た。
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