泡姫物語
せっかくここまで来たのだからと恋愛のお守りまで一緒に買って、神社を後にした。
神社の階段を降りる時の追い風が私たちを応援してくれているようだった。

店まで向かうタクシーの中、愛子の携帯が鳴った。

「あ、修君からだ」

「噂をすればだね。デートの話?」

「うん。時間の確認と、友紀は来るの?だって」

「私ぃ?私が行ったら意味ないじゃんね」

ふっと愛子の顔から不安の色が見える。

「……もしかして、友紀に来てほしいって意味なのかな」

愛子の予想もしない言葉に驚かされた。

「まさか!そういう意味じゃなくて、私と愛子は一緒にいるイメージだし、修とは幼なじみだからね。愛子が修のこと好きなの知らないからそう言ってきただけだよ」

「そっか。普通に考えたらそうだよね。なんかちょっとしたことで不安になったり自信なくなっちゃう。これも恋してるせいかな」

「そうだよ。私を見てごらんよ。愛子から見た最近の私ってそんな感じだったでしょ?恋は女の子を変える力があるんだよ」
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