あの時に戻れたら【短編】
「お父さん…会いたかった…お父さん…」

お父さんの目の前まで行って手を取って見つめた。


「何だよ…」


「やっぱり少し怖いよね…急に加奈子が2人になって、一方の加奈子はお父さんにしか見えないなんてさ…」

お父さんはまた頭をかいた。

「怖くなんかないよ。加奈子は加奈子だからな。娘を怖がるなんて事はないけど…」


「けど…何?」


「いや…よくさ漫画の世界だと、未来から娘が会いに来るなんて…きっと娘が死ぬ時くらいだろ…伝えたい事がある…なんてフレーズさ…」

お父さんは少し勘違いをしていた。でも、まさかお父さんに「死ぬのはお父さんだよ」何て言えるはずもなかった。私はお父さんの手を取って「私は死なないから、聞いて」って言うとお父さんは俯いた…。


「俺…か…」



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