それは、輝く星空のように
「ナツ吉ー、おトイレ行こうぜー」


わたしが困っているのを見かねたのか、弥生が声をかけてくる。


ナイスターミング!


「ごめんなさい、これで・・・」


小さく会釈をして、弥生についていく。


「あ・・・ちょっとっ」


「痛っ・・・」


チャラ男がわたしの腕を乱暴に掴んでくる。


しつこいな、このひと。


「おっと失礼」


そのとき、たまたま通りがかった男子がチャラ男にぶつかってきた。


その衝撃で、するりと手が離れる。


よく見ると、その男子は恭介さんだった。


どこから湧いてきたんだこの人・・・。


「いってぇなっ!なにすんだよっ!」


チャラ男が恭介さんに詰め寄ってくる。


「おや、オレ先輩なんだけど?」


「なんだよ、やんのか?」


ふたりが口論を始める。


――と、恭介さんが一瞬だけこちらに目を向けてきた。


そういうことか。


わたしはその意図を察して、脱出した。


よくわからないけど、恭介さんに感謝。


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