迷子のコイ
「・・・わからない?」


キョトンとしてる
彼女を見れば見るほど
そのきれいな肌に魅せられた。


私は今年、25になる。
肌が悪いわけじゃないけど
それでも10代の子の肌とは
近くでみると全然ちがう。


仕方ないことだけど
私は彼女に嫉妬した。

それでもただ


『カケルは私のもとにいる』


そのことが私のプライドを保っていた。



「あの・・・?」


彼女の桜色の唇が、おずおずと動いた。


「・・・美羽《みはね》です。
 カケルと一緒に暮らしてる」


「・・・・あ!」


私は店でしか見せない
とびっきりの笑顔を彼女に見せた。





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