迷子のコイ
想いのいっぱいつまった
彼女から渡された鍵を使い
あたしは
その部屋へと入った。


「・・・カケル?」


肌寒いその部屋からは
ヒトが住んでる
気配が感じられない。


それでも美羽《みはね》さんが
自信をもって言ったくれた
言葉を信じて
あたしは奥の寝室へと
足を運んだ。


・・・暗い 部屋。


その片隅にカケルはいた。


まるで世界から取り残されたように
体をギュッと硬くして
カレはそこに座っていた。

こんなカレの姿を、はじめて見た。



「カケル?」


あたしはそんなカレの肩に
そっと自分の手を置いた。


カレは一瞬
ビクッとすると
その顔をあたしのほうへと向けた。
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