迷子のコイ
4Fへ戻ると、
さっきの騒動を見ていた子たちが
あたしのほうを見て
なにか囁いてた。


でもあたしは
気にしないよ―にしながら
自分の教室へと、足早に向かった。



「おーアイリ、遅かったね!」


さっきの騒動を
教室にいたナギたちは何も知らない。


「これ、新商品だって。
 俊哉がくれたよ、食べよ!」


バイト先のコンビニから
もらってくるオカシを
たまに俊哉はもってきてくれた。


「・・・うん、食べる!」


「あれ? アイリおまえ、
 顔、あかくね?」


俊哉にそー言われて
あたしはまだ
顔のほてりがとれていないことに気づいた。


「・・・走ってきたから!」


あたしは半分ホント・
半分はウソの話をふたりに言った。



「おーい!! 俊哉!」


教室の入り口のトコから
クラスメイトの男のコたちが
俊哉を呼んだ。


「サッカーしよーぜ!」


「いま、行く!」


俊哉はあたしの頭をポンっとなで
男のコたちのほうへと行った。
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