迷子のコイ
「ナギぃ、いっくよー」


5時間目の体育の授業、
今日からは体育館でバレーボール。

2人1組になって、
パス練習をはじめたあたしたち。


でもはじめてすぐに
ナギがなんだか
オカシイことに気づいた。



「あっ! ゴメン!」


そう言ったのは
あたしじゃなくて『ナギ』。


いつもなら
ナギのトスしたボールを
うまく返せなくて
謝りまくるのは『あたし』。


だけど今日だけは
あたしが失敗するよりも
ナギが失敗するほうが断然多かった。


「ナギぃ、大丈夫?」


今まで1度だってなかったことに
あたしはなんだか心配になって、
思わずナギの近くへと駆け寄った。


「・・・ちょっと、何サボってんの!」


ナギの近くへと駆け寄ったあたしに
バレーボールがぶつけられる。


・・・沙紀ちゃんたちだった。


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