彼のとなり、彼女のとなり
カラン、カラン…

ドアを開け 中に入ったとたん 場所を間違えたのかと思った。

だって…雰囲気が写真屋というより、古い喫茶店のようだったから。

部屋中コーヒーの深い香りで溢れてて、

その臭いに私の心も落ち着きに変わっていく。

壁には 今まで撮ったものだろうか…?モノクロの写真達…

棚の上には 何台もの古い年代のカメラが、キチンと並べてあった。

まるで、ここだけ昭和のような時代の懐かしい臭いがした。

しばらく店の中を見渡していたら、奥の方から一人の男がやって来た。

それは 昼間に会った中年の男性。私を見て 優しい笑顔で迎えてくれた。

「やあ、昼間は驚かせて悪かったね。」

すごく柔らかくて、優しい声に緊張も緩んだ。
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