鬼畜王子の飼育方法
「ひいぃぃぃっ!!」
「何──どしたの?美希」
思わずあげてしまった叫び声に、前を歩いていた二人がギョッとして振り返ってくる。
「…あ、いや…ちょっと転びそうになっちゃって」
隣の視線が無性に怖くて、慌てて取り繕った。
「なんだ。脅かさないでよね」
フン、と鼻を鳴らして、再びオレンジ先輩に笑いかける夏生。
…こンの、薄情者めー!
親友が命の危機に晒されてるって時に、なんて冷たい人間なんだ!
少しは察しなさいよ!
「…残念だったな」
頭上で声がして顔をあげると、そこには天使のような満面の笑みで微笑む悪魔の姿があった。
「…やっぱり、猫かぶってたんですね」
前の二人に聞こえないよう、声を潜めて呟く。
「人聞き悪いな。これが普段の俺だっつーの」
「なっ…」
じゃあ、何?
私にだけそんな態度ってことか!