【実話】ただ、普通の幸せがほしかった
そして、目頭の抜糸が終わり、とうとう自分の顔を見ることになった。


私は、この日のために顔を映すものは、すべて隠し、

どこにいくのにも、サングラスとマスクをして生活をしていた。

「じゃあ、佐々木さん、ゆっくり目を開けてください」

「はい」

緊張のせいか鏡を持つ手が震えていた。
そして、大きく深呼吸をして目を開いた。

目を開けると、
そこには、昔の私は、どこにもいなかった。

瞼の腫れもひいて、くっきりとした二重、目頭を切開したせいか目が大きくなっていた。

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