妹なんていらない
この、ちょっと抜けてる少女の名は佐山千鶴。



美波と同い年で、高校一年生。



美波と違い、年上に対する態度というものをちゃんとわかっている。
(少し馴れ馴れしいが)



美波と比べ、こいつが妹だったら俺は妹がいてもいいと思う。




「どうかしましたか、先輩?」



「ああ、いや、何でもない」




そうだ、この表情。



あんな殺意たっぷりの視線に対し、なんとまあ穏やかなこと。



美波も少しは見習えってんだ、年上に好感をもたれる態度ってもんをな。



そしたら俺だって、妹なんていらねぇ、だなんてこと思わなくて済んだはずだ。
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