妹なんていらない
「うぅ…恥よ………

こんなクズ助にバレるなんて…」




おい、怖いから聞かないがクズ助って俺じゃないよな?




頭を抱え込んでうなる美波に哀れみの眼差しを向ける。




いや、まさか泳げないだなんて思わなかった。



こいつの運動神経は抜群なわけだし、何でもそつなくこなすと思っていたが、意外な弱点発見だ。



雨宮もそれを知っていたからわざわざ浮き輪なんてものを買ってきたんだろう。



本当に人をからかうのに必死なやつだと思う。



いや、だってよ。


泳げないことをからかうがためだけに普通買うか、浮き輪。



こんなことするやつ、世界中探してもそうはいないだろうよ。




「美波も情けないよねー。

いっそ高橋カナヅチって名前にしたらー?」



「黙れ…」




美波の声はテンションのせいか、さっきのような迫力はなかった。
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