必要性
どうやら、後ろに吸い込まれたのではなく、彼に腕を掴まれ、引き寄せられたらしい。
「完璧主義の琶乃だから、絶対、着替えを取りに部屋に戻ると思ったんだ〜」
どうやら私の行動は彼にはお見通しらしい。
「…………!だっ…だめ…っ!」
彼がいきなり、後ろから抱きすくめていた腕を、乱れた胸元に入れてきた。
「ん…もうガマンできない…」
「でも…っ!」
「琶乃」
彼の手の動きが止まり、私を反転させて、彼と向かい合わせの形になる。
私は、彼と向かい合わせになったことで、貧相な胸元を見られているのでは、とそっちばかりに気がいってしまっていた。