先生なんかじゃない
「困るよ…」
私は吏惟くんの先生なんかじゃない。
吏惟くんの前では、先生でなんかいられない。
そう言いたかったけど、吏惟くんを生徒として見るのも、きっと吏惟くんのためには大事なことなんだ。
「……わかった」
そっと体から離れた腕に、愛しさが込み上げる。
ずっとこうしていられたらと望んでも、叶わない現実。
「ごめんね」
言った私の方が、いっぱい泣きたくて仕方なかったよ。
「彩夏ちゃ〜ん、チャイム鳴りましたけど?」
「篠原先生、今日何すればいいんですか?」
一日3回ほどの担当授業。
全然、頭が回んない。
吏惟くんのクラスでも、そうじゃなくても。
っていうか、吏惟くんは体育の授業には出てこないし、もう体育館にも遊びに来なくなってた。
授業くらい、ちゃんと出なきゃダメじゃん…
「彩夏ちゃん、また相談にのってほしいんだけどさー」
「…ん?」