先生なんかじゃない
それからの吏惟くんは、絶対授業をさぼることはしなかった。
体育館に遊びに来てくれないことに関しては、ちょっと寂しさもあったけど
放課後になれば必ず…
「彩夏〜……センセイ」
他の先生ににらまれて、慌てて「先生」を付け加えるとこにもキュンとしちゃう。
ほんとにほんとに、大好き!
「なぁ、彩夏。卒業したら…、っていうか卒業式の後すぐ」
「うん?」
「オレに好きって言って」
そうなの。
私はやっぱり吏惟くんの先生だから、すぐに気持ちは伝えられない。
だから、卒業したときに言うって約束したんだよね。
良く晴れた3月の青空。
花びらの中を笑顔で歩く卒業生。
「吏惟くん、卒業おめでとう」
「サンキュ、彩夏センセ!」
そう言いながらソワソワと何かを待ってる吏惟くん。
私はちょっとドキドキしながら、しゃがんでほしいんだと吏惟くんの制服の裾を下に引いた。
跳ねる髪の隙間から見える耳元で、小さく小さく囁いた告白。
「…吏惟くんがスキ」