先生なんかじゃない



それからの吏惟くんは、絶対授業をさぼることはしなかった。

体育館に遊びに来てくれないことに関しては、ちょっと寂しさもあったけど

放課後になれば必ず…



「彩夏〜……センセイ」



他の先生ににらまれて、慌てて「先生」を付け加えるとこにもキュンとしちゃう。

ほんとにほんとに、大好き!



「なぁ、彩夏。卒業したら…、っていうか卒業式の後すぐ」


「うん?」


「オレに好きって言って」








そうなの。

私はやっぱり吏惟くんの先生だから、すぐに気持ちは伝えられない。

だから、卒業したときに言うって約束したんだよね。




良く晴れた3月の青空。

花びらの中を笑顔で歩く卒業生。




「吏惟くん、卒業おめでとう」


「サンキュ、彩夏センセ!」



そう言いながらソワソワと何かを待ってる吏惟くん。

私はちょっとドキドキしながら、しゃがんでほしいんだと吏惟くんの制服の裾を下に引いた。


跳ねる髪の隙間から見える耳元で、小さく小さく囁いた告白。



「…吏惟くんがスキ」



< 29 / 30 >

この作品をシェア

pagetop