粛清者-新撰組暗殺録-
「う…うわああああーっ!」

腰を抜かす寸前の無様な動きで、辛うじて左片手一本刺突をかわす三十郎。

しかしその瞬間、背中が無防備になる。

その背中に、斎藤の強烈な蹴足!

「ぎゃあっ!」

蹴りを食らった三十郎は、その勢いで石段を転げ落ちた!

石段の一番下まで転げ落ちた三十郎は、既に息を引き取っていた。

…斎藤は溜息をついて頭を掻く。

「チッ…またやってしまったか…」

それでも然程の後悔もせず、斎藤は屯所への帰路へとついた。

慶応二年四月一日、新撰組七番隊組長・谷三十郎、祇園石段下にて頓死。

斎藤一が暗殺したという説があるが、史実では定かではない…。

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