粛清者-新撰組暗殺録-
「女…?…ああ、あの時尾とかいう器量よしの事か…やれやれ、斎藤君、君ほどの男が随分と御執心のようだな」

「恐縮です」

頭を掻く斎藤。

「まあいい、それじゃあまた明日…先程君に話した近藤暗殺(しごと)に関しては、後日また話し合うとしよう」

「はい…それでは失礼致します」

こうして伊東一派と分かれた斎藤。

…途端に、その表情は厳しいいつものものとなる。

彼は先程とは打って変わって敏捷な動きで、とある長屋の前まで移動する。

そして、その長屋の戸を軽く叩くと。

「斎藤か?」

一人の男が用心深く顔を出した。

土方だった。



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