粛清者-新撰組暗殺録-
翌日。

総司は秩と会い、彼女の祖父を死に追いやった首謀者が芹沢だった事、そしてその芹沢を昨夜のうちに抹殺した事を彼女に伝えた。

…秩は何も言わなかった。

無論総司も何も言わない。

確かに秩の仇討ちを預からせてくれと言ったのは総司だ。

だが秩が刀を穢す事も、人斬りも嫌っている事は知っている。

だから感謝の言葉など期待はしていなかった。

ただ、彼女と彼女の祖父の無念は晴らされた。

その事を知らせたかったのだ。

「それじゃあ僕は…これから巡察がありますから」

総司は秩に背を向ける。

しかし。

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