粛清者-新撰組暗殺録-
芹沢一派暗殺から数日が過ぎたある日の事。

斎藤一は近藤局長、土方副長によって局長室に呼ばれた。

話の内容というのは…「間者?」

「うむ」

近藤は頷いた。

「市中を巡察してくる隊士達から聞いたのだが、近頃新撰組に関する情報の漏洩が問題になっているらしい。隊士の人員、氏素性は勿論の事、どの隊士が誰の配下で、どのような勤務時間で動いているか、そんな細かな事まで志士達に漏れているという話だ…どうも新撰組内部に間者が紛れているとしか考えられない」

「成程…それで俺が調べる訳ですか…しかしお言葉を返すようですが…」

斎藤は近藤に尋ねた。

「今回のような間者の発見や諜報活動の類でしたら、山崎烝のような隊士の方が向いているのではないでしょうか。彼はそのような任務専門ですし…」

「そうしたいのは山々だ…お前は仮にも三番隊の組長だし、こんな仕事はさせたくないんだがな…」

土方が溜息をついた。


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