粛清者－新撰組暗殺録－

その頃、鴨川東岸を捜索中だった土方が、近藤の一隊が池田屋に突入したという報告を聞いていた。

土方の率いる隊には、斎藤の姿もあった。

（ほう…沖田君…俺よりも先においしい修羅場に飛び込んだようだな…）

薄笑みを浮かべ、軽く舌なめずりをする斎藤。

彼もこの戦に血が騒いでいるかのようだった。

土方はすぐに隊を率いて池田屋に駆けつけ、六番隊組長・井上源三郎ら十一人を屋内に斬り込ませると共に、松平忠司ら十二人に逃亡する志士の阻止を命じた。

勿論斎藤一は屋内への斬り込み役だ。

ゆっくりと揺らめくように池田屋に足を踏み入れ…。

「何だ貴様！｣

襲い掛かる志士達に対して。

「邪魔だ、阿呆ども」

左片手一本刺突！

彼の一突きによって、二人三人が一瞬にして鮮血に包まれて倒れた。

「やはりな…」

斎藤がまた舌なめずりする。

「ここは最高の修羅場だ…」