粛清者-新撰組暗殺録-
「ぬ…!」

口ごもる吉田。

反論すらできなくなったのは、むしろ吉田の方だった。

…傍らで話を聞いていた永倉が笑みを浮かべる。

「論争では勝負ありのようだな、吉田」

「ほ…ほざけ、屁理屈ばかりの狼畜生風情が!」

吉田のそばに立っていた志士が総司に襲い掛かる!

だが。

「ぎゃあ!」

床にあった亡骸の握る刀を咄嗟に拾い上げて、永倉が素早く一閃!

志士は喀血と共にガクリと跪き、そのまま絶命した。

永倉は吉田に鋭い視線を向ける。

「貴様と総司の一騎討ちは、この永倉新八が誰にも邪魔させん…」

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