粛清者-新撰組暗殺録-
吉田と総司の間合いが詰まった。

「…面白い仕合になりそうだな」

二人の対峙を見守っていた永倉の背後に、いつの間にか斎藤が歩み寄っていた。

「傷はいいのか、永倉」

「構わん、今の総司の体に比べればな」

晒をほどき、指を削がれた左手の傷に巻きつけながら永倉が言う。

…当然、一目見て斎藤も気づいていた。

今の総司の体は…。

「どうした若造、かかってこぬのか?」

吉田が総司を挑発する。

…総司はギリギリまで己の刀を引きつけ。

「はああああっ!」

瞬速の三段突き!

鋭い切っ先が吉田に襲い掛かる。

が。

「これが沖田総司得意の三段突きか」

吉田は薄笑みを浮かべた。

「欠伸が出るわ!」

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