最後に初めまして。
何かを感じて視線を本から離すと浴室から古都が顔だけ覗き込むように見ていた。


『登、あの…電気消してくれる?』

「着替えぐらい持って入れよな。」


俺は電気を消して窓の外を眺めてた。


『……登。こっちを…見て下さい。』


その声で振返えるとバスタオルをはずして何も着けていない古都が立っていた。

慌てて俺は視線を外して違う場所を見ている事に気付いたのか…。


『ちゃんと私を見て。私だけを今は見て…。』


俺を見つめる古都のブラウン色の瞳は出逢った時と同じで真直ぐに俺の瞳を見ていた。

月明りに照らされた古都の体はとても綺麗で悩ましく神秘的だったが胸の所に生々しい幾つかの傷跡があった。


『私、登が見て来た人達みたいに綺麗な体じゃないでしょ?こんな体で登はきっと…――。』

「そんな事はない!俺は古都を抱きたいと思う程どきどきしている。」

『…ホントに?こんな体を見ても変わらなく愛してくれるの?』

「古都、こっちに来て、俺の鼓動を聞いてくれないか?」


俺は古都顔を優しく胸に導いた。


「聞こえるだろ?この高鳴りが、それがこの気持ちの全てだよ。」


古都は顔を上げ俺の首に手を回し優しいキスをしてくれた。

古都を横に寝かせ昨日、俺にしてくれた様に傷跡にそっと唇を合わせた。

それから幾度なくキスをした。そして…、

古都と俺は互い求め合って一つになった。

古都の困った表情と、優しく微笑みながら照れた表情が頭から離れる事はなかった。
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