最後に初めまして。
俺達は一睡も出来ないまま朝を迎えた。
窓の外を眺めていたら古都が話かけて来た。


『朝になっちゃったね。何か帰りたくないな。』


古都はまた布団で口元を隠して照れながら俺の顔を見ていた。


「そうだな…。でもそろそろ行かないと心配するな。動けるか?」

『登が優しかったから大丈夫だよ。』

「なら下に降りるか。」


俺達は部屋を片付けて一階に降りた。


『おはよう。古都ちゃんぐっすり寝れた?』

『う、…うん。』


ヒロの目が一瞬光ったかの様に輝く。


『古都ちゃん首筋にキスマーク付いてるよ。』

『えっ?うそっ、登付けたの?やだぁーっ。』

「ヒロの嘘に決まってるだろ?まったく…。」

『えっ…もぉーヒロさんのばかッ!』

『うふふ…。古都さんって可愛らしいですわ。』

『もぉ~、百合さんまで言わないでっ。』


俺はただ赤面するしかなかった。

これだけ反応が単純だとからかいたくなるヒロの気持ちも分らなくないが…。

俺達は朝食を車の中で済ませる事にして別荘を後にする事にした。

帰りはヒロが運転手をやってくれるので俺は後部座席に腰を下ろした。


『百合さん色々ホントにありがとう。私、一生ここでの事忘れません。』

『またみんなで来れば良いですわ。楽しみにしてますね。』


黙ったまま古都は百合さんに深々と一礼して後部座席に乗込んだ。

楽しい旅行の思い出が幕を閉じる瞬間でもあった。
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