最後に初めまして。
カップの口紅を手で拭き取りながら俺に続けて話かけて来た。


『それにしては浮かない顔ね。心配事があるならついでに聞くけど。』

「いや…それは俺自信の問題だから大丈夫だ。」

プルルル…プルルル…プチッ。


「もしもし…。」

『登?古都です。連絡遅くなっちゃってごめんなさい。』

「それはいいけど…。今家なのか?」

『今から登んとこ行っていい?ダメ?』

「いつもの所まで迎えに行くから着いたら電話するわ。それまで家で待ってな。」

『分かった待ってる。』

「薫…悪い。俺…―。」

『私はいいから…。今まで楽しかったわ。』

「ああ…、俺もだ。これ部屋の鍵閉めたら郵便受けにでも入れといて。」


俺は足が痛いのも忘れ部屋を飛び出した。
エレベーターが来るのも待遠しい程、古都に逢いたい。

心配な事よりも古都の顔を見て触れたい。

そばに古都を感じたいと強く思っていた。


駐車場に着くとポケットから鍵を取り出しドアのロックを外した時、暗闇から誰かが現われた。


『登…私を置いて何処にいくの?』

「ま、真夕美?」

『あの女の所には行かせない。私は…絶対登を許さない。』


真夕美は一人でブツブツと呟きながら俺のそばに寄って来て倒れかかる様に体を俺に預けて来た。

―― ズブッ。――


「大丈夫…痛ッ――。」


鈍い音が俺の耳に届いて来た。
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