最後に初めまして。
古都の元気な姿でも見れればこんな傷もすぐ治るのに…。

ちょっと待て。

二日寝ていた?
今日は何日だ?

もしかして、契約の最終日じゃないのか?

俺は寝ている場合じゃないと思い、体を起こそうとすると何やら線が抜け看護士が駆け付け大騒ぎになっていた。


『お前はバカか?重病人が何してんだよ。』


それは正しくヒロの声だった。
荒々しい口調で怒鳴りつけられた。


『そんな体で逢いに行ったら卒倒されるだろ?本当のバカだな。』

「バカバカ言うな…大マジなんだから。」

『お前助かったのが奇跡なんだぞ。分かってるのか?このバカが!』


そう言いながらヒロの目には涙が溜まっていた。


「…悪い。心配かけたな。それと、輸血してくれたってな。ありがとう…感謝してる。」


ヒロは少し黙って後を向いていたがいつもの様におちゃらけて来た。


『登君…特別に良い事を教えてやろう。聞きたいか?どうだ。』

「いいから早く言え。」

『お前の意識が戻る様に今日の朝まで古都ちゃんがずっと手をつないで話かけていたんだぞ。』


古都がずっとそばにいてくれていた。
俺の為に…。


『もう少ししたら来るだろうよ。こんな格好見られはら恥ずかしいからって着替えに帰ったんだからな。楽しみだろ?』


そっかまだ古都に逢えるんだ。
またあの微笑みを見る事が出来る。

俺はそんな単純な事で幸せになれる程、古都に魅かれていた。
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