さよならとその向こう側
「ありがとう、助かるよ綾。」


「え?あ、お父さん。」



あまりに彼に見とれ過ぎていたのか、目の前に父が座った事にまるで気が付かなかった。



「娘だから構わないでいいと言ったんだが、神田君がコーヒーを淹れてくれるそうだ。せっかくだから飲んでから帰りなさい。」


「神田君って今の人?」


「そうだ。研究室なんて場所には合わないくらい、いい男だろ?」


「本当だね。」



きっと私は真面目な顔で答えたのだろう。


父は私を見て大笑いして言った。


「神田君が気に入ったのか?綾は母さんと違って面食いだな。」



「ち、違うよ!?もう、お父さんたら。」


自分で顔が赤くなるのが分かる程恥ずかしかった。

だって図星だったから…。


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